
父の治療には、
間に合わなかったが。
2012年、父がすい臓がんを患った。
どうにかして治したい。
その一心で、世界中の論文を読みあさり、
名医と呼ばれる何人もの医師に会った。
どうすれば父のがんを治せるか。
あらゆる可能性を探った。
そこで知ったのが、
まだ開発の初期段階だった光免疫療法。
まったく新しいその発想に
疑問を抱きつつも、
わらにもすがる思いだった私は、
すぐさま研究者に会いに行った。
まだ、誰もが懐疑的だった。
けれど、話を聞けば聞くほど合点がいった。
「これは、いける。」
直感的に、そう思った。
それは、インターネットが世の中を変える
と確信したときと同じような感覚だった。
なんとか父を救いたい。
研究を加速させるため、
すぐに個人的な支援を決めた。
残念ながら父の治療には
間に合わなかったが、
支援はつづけようと思った。
経済学者だった父は、常々言っていた。
「企業の使命は、
人類への貢献でもある」と。
残された私が決めたのは、
この最新治療をできる限り
多くの人に届けること。
道のりは険しいだろう。
けれど、がんを患う人、
愛する人を助けたいと願う人が、
この瞬間にもたくさんいる。
そして、彼らの気持ちを、
私は痛いほど知っている。
一日でも早く、一人でも多くの人に
この治療法を届けるために。
Chairman, Rakuten Aspyrian, Inc.
楽天アスピリアンジャパン株式会社 代表取締役会長
三木谷浩史

※2018年1月、米国FDAが光免疫療法の「審査迅速化 (Fast Track)」を指定。現時点では、日本国内外において未承認となっており、実際に治療を受けることはまだ出来ません。